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その1

『遊び大好き、勉強後回しの娘(以後S)のこと』

小学生のSは、学校から戻るやソッコー「友達と遊んでくるねー!」と出かけてしまう。子どもは遊ぶのも仕事と積極的に認めていた。

「宿題は?」「さっさと終わらせなさい!」夕食後の母親の怒鳴り声が日課に。テレビ、ファンルーム、レジンでアクセサリー作りと好きなことばっかりでぐずぐず。宿題はなんとか終わらせるが、チャレンジは何か月もたまったまま。勉強で好きなのは図工と体育。学年が上がるとこれではまずいと思うが何を言っても本人はやる気なし。

ある日、Sがくれた小さくてかわいいノートを眺めていた。夏のラジオ体操でもらったやつ。ふとアイディアが浮かぶ。

ノート1ページ目に、日付とやるべきチャレンジやドリルのページ番号を書く。これだけ。そして毎日必ずノートに従うよう、ちょっとキツメにSに言う。

翌日、チャレンジの添削をし、ノート2枚目にやり直しの箇所と次にやるぺージを書く。

チャレンジには「自分でまるつけ」とあるが、親がやらないとダメ。子どもはテキトーに丸つけするものだし、ミスった所は赤で答えを写すだけ(早く終わりたいから)。

親が丸つけすると、「勉強しなさい!」とただ叱るのではなく、具体的に言えるようになる。「もっと丁寧な字で」とか「計算、ここ違う」とか。それが大事。(あら探しはしない。教え込もうとしない。怒らない。)

Sは、やがて外から戻るとすぐそのノートを開くのが習慣になった。

まぁ、その間いろいろあり、簡単に成功したわけではなかったが。。。

ノートの余白にはいつもイラストを付け加える。ハムスターだったり、ピングーだったり。Sの喜びそうなやつ。私のへたなイラストの周りに、Sの元気いっぱいの絵が描かれて戻ってくる(下の子が落書きすることも)。毎日の丸つけはちょっと面倒だが、Sのかわいい絵を見るのは楽しい。

もちろんこの方法がどんな子でも上手くいくとは限らない。子どもにはそれぞれ個性というものがあるから。しかし大切なのはその子に合った“きっかけ”を見つけること。

私の塾にもこのきっかけ(仕掛け)が色々ある。入塾して半年もたてば、塾の宿題を忘れずやるし、小テストも合格点目指してがんばるようになる。

塾生全員がそうだと豪語するつもりはないが、8割(いや謙遜して6割?)ほどは上手くいってる。

それってなんだって?

塾生になったらわかるさ。あ、わかんないで慣らされちゃう可能性も。

意欲的な生徒には必要のないことだが、そんな子は稀。とにかく習慣づけてしまおう、というのが私の塾の戦略。

ところで、毎日勉強するようになったSだが、集中力が欠けるのが目につく。30分で終わりそうなものが倍かかる。さっさと済ませば遊ぶ時間も増えるのに。。この難問、なんかいい方法は?(解決次第、続きあり)

その2

『上の娘Yのこと』

Yが中学に入るとき、「A塾にいってもいーい?」と。てっきり私の塾に来るもんだと思っていた。「はぁ?」と私。「だってね、友達もみんないくんだもん」と。「みんなが行く塾ってあまり感心しないなぁ、遊びに行くわけじゃなし」と反論してみる。

しかし、A塾は自宅から近いが、私の塾は結構遠いので送り迎えも車になる。で、ま、いいかと。

勉強はA塾におまかせ状態。そして中学最初の定期テストが終わる。

数学がひどい。答案をみる。計算ミスやらなんやら。「途中計算の書き方、塾でも習っただろ!」と私。「省略した方が速くできるからいいって言ってたもん」と娘。速いのはいいが、だからミスってんじゃん。怒鳴りたいのをこらえ、いろいろ聞いてみる。

A塾では予習を義務づけている。習ってもいない範囲がワークで出る。復習ならわかるが塾の予習って? ま、悪い塾じゃないんだろうけど、Yのこと、しっかり見てないなと。それにチラシの誇大広告っぽいのもちょっと。。

A塾をやめさせ、夏期講習から私の塾に。 途中計算を正確に書かせ(多少遅くてもかまわない)、漢字のとめはねやら、1学期の基礎的な事柄をもう一度やり直す。

それで飛躍的に向上した、とはならないけどケアレスミスが減り、必要な力は定着した。

私の塾は、基本的に自分の娘に対処したやり方と同じ。丁寧に一人一人をみていく。

教えたことを、生徒がどうとらえているかに注意する。だから授業中の質問を大切にする。生徒に説明させてみる。ノートや答案の書き方をチェックする、など。

うちもやってるよ、という他塾の声も聞こえそうだ。

そして授業はライブ。大まかなことは事前に決めるが、細部はその場の反応でどんどん変更する。とにかく一方通行的なやり方はしない。あくまで生徒のノリが大事(わかる授業はノリがいい)。

だから授業前にあれこれいわゆる教材学習はしない。だって、ウン十年も同じことやってんだぜ。頭に入ってるよ。

最後に、自分が払うとしたら許せる範囲の金額設定にしている。最近は年間に払う授業料プラスアルファの納入費が莫大な塾が多い。少子化で生徒も減少している中、一人当たりの金額を高めに設定したい気持ちはわかるが。

だけど、安くて美味しいラーメンは大好きだが、高いラーメンはなんか許せない。高いとつい「ラーメンのくせに!」と悪態つきたくなる。

塾も同じ。

同じじゃないって?

話は戻って、娘のYも、当初は塾を変わるのを嫌がっていた。学校の友達はいないし、他の中学の子ばかり。でもしばらくして私の塾は面白いという。塾長の横道にそれた話が笑えると。塾長って私のことだが、家では面白い人だと思ってなかったのか?

そして最後に「パパは嫌いだけど、塾長は尊敬している」という言葉を残して卒業していく。とりあえず最高の褒め言葉。

本当は、その間いろいろあり、高校合格したときにはやれやれだったんだけどね。

その3

『娘Yの高校入試の話』

開塾以来、3桁の卒業生を出し、そのつど熾烈な受験対策を経験してきたはずが!!

YはA高に憧れていた。A高以外眼中にない。内申ランクはセーフ。学力点はあぶない。やはり中3、2学期の三者面談でひとつ下のB高を勧められる。現実的な選択だと残念ながら私も思う。

小学生のときの放任がたたってか、数学が足をひっぱる。応用問題、考える系のがダメ。理科も苦手。小学生のうちは遊び第一のびのびと。中学からしっかりやれば挽回できる。当時はそう思っていた。事実、野球チームやらサッカー少年団やらで勉強全くなし。中学からウチの塾でしごかれ見事に飛躍する。そんな塾生ざらだったし。だから小学生のときYは塾生ではなかったし、家でも教えたことがなかった。

Yは中学で吹奏楽部に入った。練習時間は長い。土日もない。きつい。

いつ勉強するの?

そんな状態で1年が過ぎ、2年も過ぎ、あっという間の中3。こういう部活って、勉強と両立できてる子はホント偉いと思う。音楽好きの私は、Yに未来のCandy Dulfer(美人のサックス奏者)を重ねていた。だから、ま、いいか、と。

親バカのはんたい。

バカ親。。。

そのツケがこの三者面談?私はB高でもいいと思った。YもB高を受けるという。B高もあぶない、と担任は言ってたけど。

そして冬期講習が始まり塾は戦場に。

そんなある日、「B高なんか行きたくない。落ちてもいい」とYが言う。間接的に聞いたのだが。。

「なにいってやがんだ ! 」心の叫び。

で、冬期講習も終わり1月末の倍率発表。
A高は1.0倍(最終倍率1.2倍)。B高は高倍率。

当時、どちらかというとB高は内申点重視。A高は当日点に重きを置く。内申ランクのさほど高くないYにはB高は厳しいか? 当日点狙ってA高にするか?背水の陣を敷かせた方が本人のため?B高受験は本意じゃないようだし。。

うーーーーーーーん???

そして

「A高に進路変更って先生に言いな。責任は俺が持つ。落ちたら俺の判断ミス。君のせいじゃない」と携帯で伝える。

翌日、「下げるならわかるが、上げるなんて聞いたことないって!」

そう担任に言われたと泣きながら塾に電話をかけてくる。

Yの家での勉強スタイル。

一日めはがーっとほとんど徹夜でやる。次の日は早くからがーっと寝てしまう。こんな感じ。ダメじゃん!毎日やらなきゃ。それに入試直前の睡眠管理は大切。それ以外でも全く信用できないYの家庭学習。これも間接的に聞いた話だったけど。

私は早起きなんか三文のソンだと思ってるし、午後から遅くまで塾にいる。Yとはいつもすれ違い。塾生としてのYしか見てない。ならばと、授業を大幅に延長。即効性のある理社を集中的にまとめあげる。直前ゼミではクドイくらい徹底的に説明しまくる。プリントの宿題もこれぞというのを出しまくる。

全てはYのため。。。 (あれ?他の塾生はどうした?)

この入試最前線の日々、塾の準備をしながら、或いは運転中にと聴きまくっていたのがSlayer(スラッシュメタルバンド)。それまでメタル系は敬遠してた。

だって、バカっぽいよね?

ヘドバンとか。

私のプッツンしそうな緊張感を、エッジの効いたギターリフがつなぎとめてくれる。入試が終わるまで闘志を鼓舞してくれた名曲Expendable Youth。

最高にかっこいい!

そう、この経験で随分反省した。

今まで「合格まで責任指導」なんて。ホントにそうだったのか?ま、やるべきことは十分、いやそれ以上やってた。しかし、こんなドキドキ感は経験したことなかったから。加えて、小学生、それも低学年のうちからしっかり勉強みないと絶対マズイと。ブラック部活はアウトというのも(異論ありそうだが経験から)。

とにかく他の塾生ともども YはA高に合格した。

やれやれだった。

その4

『私(塾長)のこと』

大学時代のアルバイトが何となく本業になってしまったが、本多勝一のルポ(極限の民族など)に影響を受け、新聞記者志望だった。その前は宇宙飛行士に憧れてたし、漫画家になりたかったことも。だから塾のキャッチコピーに「夢はきっとかなう」なんてフレーズ、絶対書けない。

学生のとき、ながら勉強をしていた。親によく叱られた。手塚治虫はクラシックをバックにジャングル大帝を描いていたそうだが、私はロックやブルース。たまにジャズ。近年、ギターの練習を再開。夜中に、晩酌しつつ「相棒」観ながらtab符(楽譜)チラ見でギター弾くという(※)。究極のながら練習。それでもある程度上手くなったので、たまに塾生に披露したり、サンロクのバーでライブやることも。(※エレキギターはアンプ通さないと音が小さい)

弾くのは、Freddy King、Blues Breakersの頃のClapton、Jimi HendrixやVenturesなどのインスト。生徒の前での授業は緊張しないが、人前での演奏はあがりっ放し。よってよくミスる。それでもやってて思うのは、努力は継続しなきゃだめだってこと。自分を甘やかさない。諦めない。とにかく続ける。そうすりゃ少しは展望が開けるってもんだ。勉強も同じ。だからといって「努力」がどうのと生徒の前で講釈垂れない。それって、他人に言われるとウンザリだし。切り口を変えて伝えるしかない。

去年(2016年)は、ハインライン、クラーク、アシモフの大御所中心にSFを70冊くらい読んだ。「火星の人」が映画になったけど、ジェフリー・ランディスの「火星横断」の方も面白かった。同じテーマの双子のような作品。パクったのかなぁ?(火星横断の方が古い)トランプ大統領になり、ジョージ・オーウェルの「1984」がアマゾン(アメリカ)でベストセラーになっている。全体主義の恐怖を描いた68年も前の作品。個人的には秘密保護法、戦争法、共謀罪、改憲へとすすむ、この国の近未来のようで怖かった。歴史は繰り返す。近現代史はしっかり本質をつかんで学んでおいた方がいい。SF好きから「天体」教えるのも熱が入る。生徒と寒い中、教室の外に出てオリオン座や金星見る。

そう、読書と無縁のくせに、「塾長、国語どうにかして下さい」なんて生徒がいる。読書量と国語力は比例する。多分ね。本好きでも、読めるけど(漢字)書けないってのはある。それに漢文、古文やら文法は学ばないと身につかない。文章を書くってのも技術がいる。だけど読解力は読まなきゃはじまらない。

毎晩、最低でも2冊は絵本を読んだ。子供を寝かせるため。1年で700冊。5年続けて3500冊。市立図書館にはまだいっぱい絵本がある。図書館ってすごい。読み聞かせた私も偉いけど。誰も褒めてくれないので自分で(笑)。とにかく、読みなさいよ。面白いの山ほどあるぞ。国語云々(“うんぬん”だよ〜笑)言う前に。

2011年の3.11から、内部被曝に関する数十冊の文献を調べ、ネットで海外の論文もチェックし、また様々な勉強会にも出席した。並行して、学校給食の放射線量測定の実現を目指す市民運動に参加した。一部の市議さんの後押しがあり、現在は、ゲルマニウム半導体検出器による検査を市は行っている。月に数品目というのはちょっと足りないが。。給食は、成人より放射線感受性の強い子供達が食べる。100%安全なものを与えるのは我々大人の責任だ。(市のHPに放射線量測定結果が毎月出ている。)

スポーツで得意なのはスキーだけ。子供が小学校に入るとすぐ教えた。最初は、伊の沢が安いので冬休みに数日通った。楽しかったなぁ。目に見えて上達していくから。昨日よりも今日って。勉強教えていてもこんな感動はない。頭の中覗けないしね。

とにかく子育って、大変だけどそこから学ぶことは凄く多い。子どもと一緒に親も成長するっていうのは本当だ。同様に、私の場合、生徒から学ぶ、というか反省させられることも多い。

その5

『塾は今』

2月は私の休みは1日だけだった。日祝日に中3の直前ゼミがあったから。

午前9時半から模試。昼食をはさんで午後の解答・解説が2時間。その日のうちに採点し答案返却。(過去のデータから)合否を星の数で記した簡単な帳票を付ける。午後4時終了。

お弁当持参。悪趣味かもだが生徒のお弁当を見るのは楽しい。 我が子のためにと工夫された美味しそうなお弁当。かと思えば、「塾長お湯 !」とカップ麺を食べる者も。私はたいていオニギリ。生徒からイチゴのおすそ分け。昼食時の教室は幸せな空間。

帳票の星の数、5つが最悪。数が少なくなるにつれ合格に近づく。「うわ、4つも!」「やった、前より減った!」など、結構楽しみでもあるし次回への励みにもなる。この5回の直前ゼミで、答案の書き方、時間配分など様々なことを学ぶ。本番に必要な力すべてを身に付ける。

中3は平常授業と直前ゼミ以外に補習もあった(ほぼ全員が参加)。自分の苦手とする科目中心に私が用意したプリントをやる。丸つけは私がやる(理由は“その1”)。分からないところ等は説明する。ともすれば押しつぶされそうな受験前の緊張感の中、塾の仲間と共に自習するメリットは計り知れない。

補習は無料(3時間×10回くらいやった)。しかし、それを塾のウリにするつもりはない。塾生は、小学生からの者もいるが、ほとんどは中1から通っている。この年代の身体を含めた成長ってのはすさまじい。そんな姿を見て情が移るのは当然。ウチのような少人数規模の塾長さんは、みんな同じ気持ちだろう。受かってほしい。ただそれだけ。合格実績とかそんなの関係ない。ここまでくると情でやりたおすのみ。それに、こういう和気あいあいの勉強会は私も楽しい。

2月は中1・2の学年末テストもあった。特に中2は内申点がほぼ決定する大切な時期。内申点を中3で挽回するのは難しい。近隣の某中学は、中3でがんばってもほぼ無理。下手すれば下げられる。血も涙もないのが伝統。そんなわけで塾の2月は超忙しい。

今日は当初の予定にはなかったオマケの直前ゼミだった(結局全部で6回に)。最後に私の名刺を配る。受験のときの御守りとして(私の怖い顔を思い出せば落ち着くことうけあい)。そして受験が終われば、近所の懇意にしているラーメン屋でタダで食べられる券にばける。つまりご苦労さんを兼ねてラーメンおごってやるわいと。「一杯だけ?」って言われたけど。ちなみにそのラーメン屋のお子さんも元塾生。

中3ラストの直前ゼミが終わりみんな帰っていった。急にシーンとした教室。なのにまわりの空気には、さっきまでの名残がたっぷりある。黒板には私が書いた図表や乱雑な数値。机の上に残された消しゴムのカス。乱れたままの椅子。毎年のことだがせつなくなる瞬間。

次に会うのは「塾長!受かったよ!」の嬉しい笑顔。きっと、いや絶対そうなると信じて。(3月7日、公立高校入試)

〈2017.3.4〉

その5の続き

○高校合格おめでとう‼️〈3/17.2017〉

塾生メッセージ(メール、電話連絡分)

「合格しました。これも塾のおかげだと思っています。
今までありがとうございました。」
(啓北中、旭川東合格)
「無事に受かりました。お世話になりました。」
(啓北中、旭川東合格)
「連絡遅くなってすいません。合格しました。」
(啓北中、旭川北合格)
「受かりました!!!」
(啓北中、旭川東合格)
「塾長のおかげで受かったよ!」
(北門中、旭川永嶺合格)
「遅くなってすいません。無事合格しました。」
(啓北中、旭川永嶺合格)
「塾長、受かってました!楽しい授業をありがとう!」
(附属中、旭川東合格)
「受かりました。3年間本当にお世話になりました。」
(啓北中、旭川西合格)

その6

『塾選びについて、最近感じること』

昔は、入塾時に、「先生、叩いてもいいですから、お願いします」と言うお母さんが多くいた。冗談半分なんだろうけど。塾がまだ、少しは教育の場として認知されていた頃の話。

ところが、昨今は状況が一変し、単なるサービスを提供する場と変貌した。生徒はもちろん大切なお客様。営業を考えると顧客の意に沿うことだけが重要。叱るなんてもってのほか。塾舎は超豪華。春期講習も体験授業も無料だったり。頻繁なDMや電話勧誘。時期になると毎週入る折り込みチラシ。入塾すれば、こなしきれない教材がふんだんに与えられる。規模が大きくなればなるほど、成績のいい子は上客。次年度の塾の実績として使えるから。逆に下位の生徒はそれこそお客様。退塾せず通って頂ければOK。

昔のお母さんの方が賢かったと言いたいわけではない。むしろ塾を盲目的に信頼し、結果、失敗したということもあっただろう。しかし、入口から、我が子にどれほどのサービスを提供できるか、といったことのみで門を叩けば、それは子どもも敏感に同様な態度を取るんじゃないだろうか。「学ぶ」という態度ではなく「受け取る」的な消費者の行為になりはしないか?

もちろん教える側に力量があり、或いはそれが多少未熟でもカバーしうる熱意があれば、次第に解消できるのだろうけど。

私の塾で伸びる子は、塾をきっかけとして、自分がすべきことをしっかりとやるようになったから。そのために最も大切なことは私と塾生との信頼関係。だから本筋では嘘、誤魔化し、手抜きはしない(冗談の嘘はよくつくが)。社会に目を向け、そこに不正義、不公平があるのなら、それらを克服するためにこそ勉強というものがあるのだと思っている。ここは昔ながらの、たぶん今となってはズレまくってる塾。

私が入塾希望の生徒に望むことは一つだけ。誠実であれ。誠実に学べば、勉強なんてすぐできるようになるからと。

〈2017.4.2〉


その1の続き。。
「毎日勉強するようになったSだが、集中力が欠けるのが目につく。30分で終わりそうなものが倍かかる。」がなんとか解決。

外遊びしてから勉強、のスタイルを逆に。学校の宿題やってから遊びに行かせる。集中してさっさとやらないと遊ぶ時間減るよと。小学生は外出時間決まってて可哀想だったけど。4月から6時までになったので(冬は4時。6時間授業だと友達と遊べない)。10分でも20分でもとにかく真剣にやらせる。もちろん終わりきらない。それは遊んだ後で。繰り返しているうちに前よりダラダラ感が減る。

追記
最近、新入塾生のお母さんから、「煮ても焼いてもいいですからお任せします。」と言われ、つい笑ってしまった。

〈2017.5.2〉

その7

『中学初の定期テスト』

入塾時の面接で色々なことを聞かれる。金額体系は当然として、どう指導しているのか?テキストは何を使っているのか?などなどが中心である。こちらも入塾してもらいたいからできる限りの応対をする。それに授業見学。どんな授業を望んでるのだろう?NHKのテレビ講座みたいに真面目にやるか?でも生徒は退屈するし。普段通りの型破りなのをみせるか?どちらにしても、お客様として参加するだけではその時の雰囲気しかつかめるはずがない。見ず知らずの他人に我が子をあずけるのであるし、毎月安くもない月謝を払うのであるから、塾選びに慎重になるのは理解できる。でも、本音を書けば、こちらが何を与えるかじゃなく、お子さんがどう頑張るかにかかっているのにな、と思う。

塾の仕事というのは、特定の科目を分かりやすく教えることがメインだと多くの人は考えている。しかし、私にとって、黒板の前に立つ仕事は、そこに多少の緊張感はあるにしても、生徒との掛け合い漫才みたいな部分もあり、ライブっぽい楽しさ満載で、あまり労力を必要としない。授業だけやっていればいいのであれば、こんなラクな商売はない。ま、自分はね。他の塾の先生はどうか知らないけど。授業命でがんばってる先生もいるだろう。

大変なのは、教えたことを反復させ定着させること。なぜこのことに最も労力を使うのかというと、それは相手、つまり塾生の性格だったり、やる気に訴えないとできないから。これが難問。当たり前だけど、塾に入ってくるときはみんなやる気あります、頑張りますって顔してるんだけど、そのやる気に行動がともなうかは別だったりする。だから、中1の一年間くらいは、どう学ぶか?といった躾に随分と時間をとられる。理詰めで話す、面白可笑しく言う、脅してみる、叱る、褒めてみる、しばらく突き放してみる、それでもダメなら親御さんに電話して助けてもらう。考えつくありとあらゆる手段を用いてやってみる。それでもダメな子もいるし、そんなこと関係なくきちんとやる子もいる。後者の方が割合では圧倒的に多いのだけど。

だから、入塾の面接のとき、あれこれ尋ねられながら、この子は大丈夫かなぁ、真面目にやる子かなぁ、なんて思いつつというのが本当のところ。「うちの子は、宿題とか、言われたことだけはきちんとやります」とか言ってもらえると正直ホッとする。

そして新学期の授業が始まる。ひと月もすれば塾にも慣れ、個性というか、地がでてくる。それが良い方の地ならいいけど、アリャリャということもある。そこから生徒と私の一騎打ち。なんとか軌道に乗せようともがく日々。そうこうするうち中学初の期末テストが近づいてくる。5教科合計の目標を言わせてみると、ほとんどの者が実力以上の点数をいう。現実の自分ではなく、こうありたい自分を目標とするのは、それは健全なことに違いない。ああ、だけど、長年こんな商売やってると、どれくらい取れるか見当がついちゃうんだよね。中には無理だってことも。だって、こちらが心配して補習とかいってもやりに来ないし、追試もほったらかし、宿題もどう見ても誠実にやってないし。。。理由は部活だったり、なんらかの用事だったりするけど。

自分の子なら首根っこつかまえてやらせるんだけど。そんな塾生とのバトルは、大概、私の負け。ちょっときつく言うと、「この塾、ぼくに向いてません」とかいって辞めていくことも。「向いてない」じゃなく、向くように努力もしてないじゃん、と思うけど。

そんなこんなで中1をクリアし、わりと安定して学習する中2も終え、中3の受験近くなると、塾生の私に対する目つきが変わってくる。まるで、神様塾長様お助け下さい、みたいな。そんな情けない顔するんだったら、もっと真面目にやっときゃ良かったのに、とか思うが、見捨てるわけにもいかないから最後まで共に突っ走る。そう、そういうのわかってるから、やっぱり中1のうちにしっかりしたやり方を身に付けさせなければ、と。

市内の上位三校を狙うのであれば、5教科合計400点以上というのが最低限必要だ。塾生には400点以下は部活やる資格なし、と開塾以来言い続けている。ま、それで部活辞めますなんて話になったことないんだけど。そのかわり「次がんばります」ってみんな言う。今がんばってないのに、次なんて期待できるわけがないと思いつつ聞いている。もし本当に次にかけるのなら、今までとは違う具体的な対策と、その実行がなければ意味がない。大抵は口だけ、気持ちだけだ。

しかし、そうじゃない子もいる。合計350点いかないA君はある時から、毎日塾に来て自習するようになった。部活が終わってからだから少し遅めだが、それでも2時間以上は塾で勉強している。ちらっとみると、学校のワークだったり塾の宿題だったり色々だが、とにかく集中してやっている。私の手があいたとき質問することもある。多分、家でやるよりも私の目が届くぶん勉強せざるを得ない気分になるんじゃ、とか想像する。そして400点越え。見事、A君は「次がんばります」を有言実行した。

今、期末テストが終わった中学も、これからのところもある。なんとか初戦で400点越えさせたい。私にとって最も頭の痛い時期。


〈2017.6.16〉


追記

400点どころか50点以上アップで450点越えの塾生も!
とりあえず、新規入塾生全てが前回よりも学年順位が大幅にアップ。

ホッとした。。。


〈2017.7.3〉

その8

『夏期講習会について』

また本音を書いてしまうけど、塾の夏期講習って意味あるんかな?夏の1週間か多くて10日、それも1日あたり数時間。そんなのに通ったからって学力アップなんてあり得るの?神社のお守りほどの御利益もないような気がする。無料で外部生募集してるところは単なる撒き餌だから論外として、講習代金数万円(お守りよりバカ高い)は、何もしないよりはマシの気休め料といったところ。もっと言えば、お金で学力を買った気になるだけ。そんな理由から、開塾以来積極的に夏期講習の募集はしたことがない。

しかし、継続生にとっては意味があると思っている。1学期はどうしても学校の定期テストがあるから、教科書べったりの授業形態になってしまう。それを離れて網羅的にまとめあげたり、発展的な事柄に挑戦したり。高校入試ドンピシャの問題もできてしまう。塾生の弱点は1学期に十分把握しているから、その補強も十分できる。そう、ウチの塾の夏期講習は、継続生のために組まれている。他の塾は、講習だけの者にも納得してもらえるノウハウを持っているのかもしれない。自分にはそれがないから懐疑的なだけなのか?ま、人それぞれだからそんなに批判することでもないかもしれない。

特に中3の夏期・冬期講習は徹底している。塾生のレベル、志望校に合わせたテキストやプリントなどを選ぶのは当たり前。講習授業も絶対に生徒を置きざりにしない。どこよりも日数と時間数が長い(塾生としては嬉しくないかもだが)。そして格安の講習料金(これは他と比較して格安ということで、それでも親御さんの負担になることにはかわりない)。

なんでこんな採算度外視(塾生がもっと多ければ採算はとれるが)の夏期・冬期講習をやるかといえば、塾生への「情」という言葉につきる。よく情がうつるっていうじゃん。よって2学期の総合ABC対策も無料。そんなだから中3は、夏期講習から入塾するというのであれば考えなくもないが、講習だけってのはお断りしている。中3、2学期からの入塾も、もちろんお断り。

というわけで、中1、中2のみなさん、夏期講習からの入塾をしませんか?講習だけでもいいけど、そんなに簡単にできるようにはならないよ。中3になって焦っても無理だと思うし。やっぱり地道に誠実にやらなきゃ。学問に王道なし。


〈2017.7.5〉

その9

『8月5日の夏期講習(6日は休みだった)』

今日の中3英語は講習テキストではなく、教科書のMother's Lullaby(母の子守唄)をやった。これは広島の原爆で死んでいく女の子と幼い男の子の話。(近隣中学では)2学期の単元だが、塾は夏期講習がありタイムリーにできる。英訳の原爆詩もいくつか紹介した。中3でも説明を加えれば理解できる英文だ。

原子爆弾は英語でAtomic Bomb、略してA-Bombという。しかし、爆心地近くにいた人にとってはピカ。ピカッと光った瞬間に全てが消滅する。距離があればピカドン。音(ドン)は少し後から来るから。ピカもピカドンも、殺され、傷つけられた側の、地獄の中から生まれた言葉。それと比べれば、A-Bombは、上空(B-29)から落とす側、マンハッタン計画推進側の言葉だといえる。

言葉の誤魔化しに安易にのってはいけない、そう教えてくれたのは詩人のアーサー・ビナード氏。3.11後、反原発のうねりの中、旭川で講演があった。氏は、ウランを一瞬に核分裂させるピカも、ジリジリ(ゆっくりと)核分裂させる原発も同じだという。よってNuclear Weaponsが核兵器なら、A Nuclear Power Plantは核発電と訳すべきだと。

福島県双葉町のゲートには「原子力 明るい未来のエネルギー」とあった。事故後撤去されたが、これこそウソ八百、誤魔化しの文言。「原子力」という新たな造語に人々は騙され続けてきたのだ。

誤魔化しは言葉だけではない。氏は、アメリカの学校教育で、「広島、長崎の原爆は、戦争終結を早め、多くの命を救った」と習ったそうだ。来日し、被爆の実相やアメリカの世界戦略を知るにつれ、それが嘘だったと確信する。学問は、真理の追求にあるはずだが、教育は、時に国家(政府)によって歪めらることが多々ある。都合の悪い事実を記述させない、したとしても申し訳程度、言葉や数字の歪曲など、それらは日本の教科書(社会、理科)にも見られる。

殺す側よりも殺される側の視点が、物事の本質を明らかにする
(本多勝一著“殺す側の論理”から)。A-Bombを落とした側の言い分より、ピカを浴びた側からこそ真実が見えてくる。

戦後、核兵器は、「放射能」「死の灰」という言葉とともに語られてきた。そういったイメージを払拭する言葉が「原子力明るい未来」だった。福島後、さすがに原子力安全神話は崩壊したが、「放射能」は科学的ではないと退けられ、「放射線」とか「放射性物質」と言うようになった。「死の灰」はセシウムという言葉に置きかわる。また、ベクレルという単位が知られるようになり、食品中の放射線量がキロ当たり100ベクレル以下なら食べても大丈夫だといわれるようになった。それに異をとなえると「科学的ではない」「風評被害を招く」と非難される。「正しく知り、正しく怖がりましょう」と彼らは言う。

その「非科学的」な言葉をあえて使えば、「流通している食材は死の灰100ベクレル以下だから大丈夫」となる。セシウムを死の灰に変えるだけで、本当のところが見えてくるし、「正しく怖がる」のイカサマ性も際立ってくる。つまり、言葉の言い換えは、微量(?)なら大丈夫という新たな「安全神話」の流布に役立つというわけだ。

キロ100ベクレルとともに、「年間20ミリシーベルト以下の被曝は健康に影響がない」というのが公の見解らしい。学校教育で、1+1=2、他は全て誤りと執拗に刷り込まれている我々は、どんなに計算が得意であっても実は数字に弱いのではないか?20mSv/yearとか100bq/kgといった数値、単位に、瞬間的に思考停止してしまう。それが科学的だと言われれば、理科で苦労した経験も手伝って、異を唱える気力も消し飛ぶ。いや学校秀才ほどなんの疑問もなく受け入れてしまうだろう。

しかし、人がどれほど被曝すると発癌するか、又は亡くなるかといった「科学的」な体系は、爆心地から半径2km以内の調査からなっている。先の言葉で言えば「ピカ」を浴びた人々によるデータからである。2kmを超え「ピカドン」を体験した人々、或いは、原爆投下後に他県から広島に入った入市被爆は考慮されていない。つまり、直接放射線を浴びた外部被爆のデータであり、空気、水、食べ物などから健康を害した内部被曝はなかったことにされている。20とか100とかいう数字はそんなところからきている。

核兵器は通常兵器の延長であるとして(爆発させ殺傷しそれで終わり)、非人道性(いつ迄も被曝に苦しむ)を隠したいGHQとしては、内部被曝を秘密にしたかったであろうことは容易に想像がつくだろう。数値自体は科学的で厳密にみえるが、その数値を決定したプロセスに誤魔化しがある。

放射線がDNAを損傷し、それが発癌、遺伝子障害などを引き起こすのが内部被曝のメカニズム。加えて、チェルノブイリ被曝1世のみならず、2世の具体的な報告も多々ある。その2世には、病気のデパートといわれる悲しい現実がある。しかし、そんなことはおかまいなしに、放射能安全神話がこの国では跋扈する。旧ソ連のと日本のセシウムは別物なのか?日本人はロシア人より被曝に強いとでも?チェルノブイリからも学ぼうとしない日本の現状。

私が小学生のとき、中国の核実験があった。担任は、「雨に濡れると頭ハゲる」と脅した。ハゲないにしても、PM2.5や黄砂で証明されているように、風向きから死の灰は確実に降っていたはずだ。福島後、同じ様なことを子どもたちに言った先生はこの国にどれほどいたのだろうか?「直ちに健康に影響はない」を鵜呑みにし、あの日、外で部活をやらせていたのではないか?

そう「直ちに」影響がでない、だからこそ放射能は怖い、というのも広島・長崎の教訓だったはずなのに。

参考文献
本は塾図書館にいろいろあるが、
矢ヶ崎克馬、肥田舜太郎、沢田昭二氏らのお話がお勧め。
アーサー・ビナード氏の旭川講演も。
YouTubeで検索を!

私が2011年のあの日、最初に読んだのが矢ヶ崎さん(琉球大学)の「隠された被爆」。
GHQも日本政府も人の命をなんだとおもってんだ!と怒った本。
肥田さんは今年3月、100歳で亡くなった。軍医のときに広島で被爆。
GHQの圧力下、原爆ぶらぶら病を研究。旭川講演ではお元気そうだったが。
沢田さん(名古屋大学)はiwjのインタビューで知った。大学選びは尊敬できる先生の下で学べるかどうか?御用学者がウヨウヨしてるとこに行く価値はない。


〈2017.8.22〉

その10

『無題』

About usページの更新に随分と間が開きました。自分としては書き切ってしまった感もありました。娘のことからはじめ、昨年の状況まで読んで頂ければ、大まかにどんな人間が経営しているのか理解できるかと思います。スマホ等でこれらの文章を読むのは大変だと思います。「誰が読むん?同業者だけでしょ!」との声もありましたが、実はこのページから当塾を知り面接に来てくれた方、そして入塾に繋がった生徒さんもいたりします。有難う御座います。

さて2018年、入試直前の「塾は今 ! 」ですが、昨年同様忙しいばかり。各中学の学年末テストもやっと終わり、そこは一息ですが、毎日自習に来る受験生、日曜日の直前ゼミ等、まだまだ気が抜けません。そんな中、早々と推薦合格を勝ち得た塾生もいます。そうそう、直ゼミの日曜日、ランチにカレーを出しました(いつもは弁当持参)。「給食みたい」と好評でしたが、味の方はそうでもなかったかも。大量に作りすぎ、しばらく家ではカレーでした。

現行中1、2は、3月から次学年の先取りを始めるつもりです。特に中2は春からいよいよ最終学年。先手必勝。早め早めの対策が勝利につながります。小学生英語も充実しています。今までは長くて小6の一年間しか教えてきませんでしたが、小5から始めた生徒が英語2年目に突入です。書くことや文の決まりなど、中学になっても無駄にならないようにしています。

そして新中学一年生。我が子なら絶対に塾にいれます。もちろん自分の塾しかありえません。上の娘の時は失敗もあり多少苦労もしました。しかし、ベストなスタートをきってほしいのです。最終的には本人が中学三年間をきちんとやり切れるかにかかってはいますが。

自分では思わないのですが、塾生からは「教え方が上手だ」と、ごくたまに褒められたりします。YouTubeなどみると、凄いテクニック持ちの先生がいっぱいいます。ですから、そう言われても気が引けたりします。それでも、まぁ、塾生とのコミュニケーションをとりながらの双方向っぽい教え方が自分の持ち味かなとは思います。逆に言えば、無反応、ポーカーフェイスの生徒は少々苦手かもしれません。

ところで、いくら気が抜けない、忙しいとは言っても、本来絶対にやらなければならないことを忘れていました。それは新学期募集のチラシ作り。よそではもう何度も新聞に折り込みがなされていますが、ウチはこれからです。たぶん3月頭くらいに折り込みとなりそうです。宿題後回しの子どもと同じ。なんてこと!!完璧な出遅れ。「友達、もう大手の春期講習予約してるよ」と塾生に教えられる始末。やれやれ感いっぱいです。

〈2018.2.23〉

その11

『2018 入試問題あれこれ』

今年も塾生のリクエストにこたえ3月4日(日曜日)にも直前ゼミを実施し、入試前の授業が全て終了した。例年のことではあるが、入試近くなっても生徒の質問が減るわけでもなく、やってもやっても終わらない感いっぱいだった。「さあ全てやり切った。後は君たちの健闘を祈る」とはなかなかならない。

これまた例年のことで、中3が終了したとたん風邪をうつされる。インフルエンザが巷で猛威をふるっていようが、受験生がいるかぎりかかったことはない。マスクしかり、何も予防しないにもかかわらず。病は気から、緊張がとけるやいなやである。布団で咳き込みながらうつらうつらと見るのは、決まって問題を解かせている夢。そして、ああ終わったんだっけ、と目覚めたときの解放感。

さて、3月6日の入試本番も終わり、どれくらい取れるか予想してみた。設問ごとに、「楽勝、普通、ちょいムズ、難、無理」の五段階評価をし、「ちょいムズ」までの合計点数を出したもの。もちろん私の主観的なもので、塾生なら最低これくらいは取れる、「取れるよね?」「取れるだろ?」「おい、取れよ!!」といった、わけのわかんないもの。よその受験生には参考にならないかも。

(各60点/国数英は裁量問題)
国語 32点、数学46点、社会 33点、理科29点、英語45点、合計185点

ちなみに道コン事務局による合格予想最低点(ランク-5科合計点)
旭川東(1.1倍) A-163、B-183、C-213
旭川北(1.4倍) A-173、B-198、C-200
旭川西(1.3倍) A-147、B-167、C-172

よって、私の予想点数だとA、Bランクなら東合格、Aランクなら北合格。
西は楽勝となる。やはり倍率が高い北は厳しい。昨年は西が激戦だった。

最後に科目ごとの(受験生には参考にならない個人的な)感想。

最初に言いたいのは理科。道コンのHPにもあったが、ここ数年、理科は難化傾向にある。「難化」というよりも、「受験生へのいやがらせ」だと思う。ただでさえだらだらと面白くもない実験を読まされ、おまけにわけわかんない設問に出会った日には。。。今年はいくつか、こんなの出すか?と思われるものや、「易+難」の完全解答も目についた。

「立憲主義とはどのような考え方か書きなさい」という社会の設問にはちょっと感動した。数年前の安保法制反対デモで問われたのは民主主義とともに、まさにこの国の立憲主義の在り方だった。大人でもこれを理解できてない人がいて、会話が成り立たないこともある。そんな中、塾生にはかなり突っ込んで説明した記憶があるが、書けたか?「わすれたー!」の声が聞こえそう。全体的に良問ぞろいだった。

数学裁量問題で、三平方の定理を使って計算するだけの簡単なやつが。しかもラストから二問目。時間切れでここまで到達できない受験生もいるだろう。相変わらず意地悪な配置。ラストはやはり難問。たぶん多くの受験生は時間内では解けない。こんなん出題する意味は?他は想定内の問題。

国語の論説文は茂木健一郎。ネットでは原発推進派として有名。内容もありきたりの結論に、お得意の脳科学だかで粉飾したもの(興味深くないこともないけど)。物語文の方は素直に面白かった。先が知りたくなるような作品が入試問題に相応しいのかどうか謎だが。漢字の読みは、「踏襲」「未曾有」「云々」「有無」なんてのを出題したら面白いのに(国会議員vs中学生)。予想点数が低いのは、記述式問題は中間点を基準としたため。

英語もどうせ出すなら面白い英文にしてほしい。いつも読む端から忘れてしまうつまらないのが多い。しかも裁量の英文は一文が無駄に長くイライラするばかり。いわゆる悪文ってやつ。比べて今年はマァマァのお話しだった。全体的には易しめの印象。

以上、切り口をかえてお伝えしましたが、マトモな入試問題講評は道コンのサイトでご覧下さい。

〈2018.3.11〉


追記
全員、第一志望に合格。
塾でジュース、お菓子の打ち上げ。
最後の挨拶で「塾長、泣かないでね」と冗談っぽく言われたが、やはり別れは寂しい。

〈2018.3.16〉

その12

『息子S 』

ウルトラマンが大好きで、そのバトルシーンを真似るうちに側転をマスター。
保育所のお遊戯会で披露し喝采を受ける。外で遊ぶのが大好きな男の子。
小4の姉にいじめられ泣くことも多いヘタレな性格。姉は入学前に親が文字を教えなくとも勝手に読み書きできるようになったので、そんなもんかーとSに教えることもなかった。

小学校に入学し、学校からもらってくるテストをみる。Sが書いたひらがなは判読不能。算数も問題文が十分に読めなかったのか足し算はできるのに酷い点。
そばについてひらがなの練習をさせる。なぞり書きすらはみ出る。エンピツの持ち方と姿勢を正してもありゃりゃな文字。簡単な絵本を読ませることも合わせて行う。横で聞いてるとこちらが眠くなるたどたどしさ。文節ではなく一文字ずつ確認しながら読んでる。濁音、半濁音はすぐ忘れる。

しかし、遊びや活動を通じて色々と学んでいた幼児期から、いきなりいわゆる座学に転じ、本人が一番戸惑っているのだろうと思い辛抱して付き合う。
国語で0点とったとき、「(友達の)〇〇〇もれいてんだったよ」と気にしてない様子。小4の姉は「バカなんじゃないの、簡単なのに!」と辛辣なコメント。

夏休み。
2学期はカタカナが始まるので事前に教えることに。まずはウルトラマンシリーズから。
メビウス、ジャック、セブン、タロウ、ガイア。Sが知ってるやつを毎日書かせる。
持ってるウルトラマンや仮面ライダーの本が読めるようになる。ひらがな練習は男子に人気のうんこドリル。
同じことを何度も繰り返さねばならず、ドリル一冊ではもちろん足りない。
ネットのやつをコピー。ネットには良質のプリントが多い。紙は結構たまる学校通信の裏紙を使えばタダ。

そして2学期。
ひらがな、カタカナほぼマスター。読みはまだたどたどしい。それでも本を読むのが好きなので助かる。幼児からの絵本の読み聞かせが良かったのかも。

漢字の学習が始まる。学校で習った順にネット上のを印刷してやらせる。上の子と一緒に土日は午前中に学習会をする。午後は思いっきり遊ぶ。そんな毎日。もうじき行われる「まとめのテスト」で100点取る自信があるとSは言う。100点取れたら、サンタさんに〇〇お願いするんだーとも。

塾講師のくせに偉そうに、と言われそうだが。
あらためて、学校教育は次から次へと子どもに教え込むのだなぁと驚く。ついていけない子は遅れるばかり。それは授業時間の制約上仕方がないかもしれないが。

1学期の教育相談でSの担任は、「男の子は読み書きが遅い子が多いんですよ」と。
だからまだ心配しなくてもいいとも。しかし、学校からくる国語のプリントはあちこち添削だらけ。こんな細かいとこまでチェックする?そんなの見れば、親は不安になるの当然じゃないかな。

低学年を教えたことがないとはいえ、Sには塾歴の長い私がそばにいた。学校の進度にそいながら短時間でも見てやることができた。普通の親は、忙しくて、勉強までつきっきりとはいかないんじゃ?子どもはやればできるのに、タイミングをのがしてるだけなのかも。

最後に、できる、できないを、その子の能力や、やる気の有無で語るのは、結局教える側の怠慢なんだと自戒した。ここ半年あまり、Sとの経験でいろいろ学んだ。

追記
「(漢字とひらがなのまとめ)100点だったよー!」と帰ってきた。
カタカナのテストは字の形をいくつかチェックされていた。
褒める間も無く、仮面ライダーのベルトをつけ、遊びに出かけた。


〈2018.11.6〉

その13

『2019 入試問題あれこれ』

3月5日(2019)の入試本番も終わり、今年の予想最低点です。設問ごとに、「楽勝、普通、ちょいムズ、難、無理」の五段階評価をし、「ちょいムズ」までの合計点数を出しました。もちろん主観的なもので、塾生なら最低これくらいは取れるだろうというもの。(  )内は昨年。

(各60点/国数英は裁量問題)
国語 48点(32)、数学47点(46)、社会 35点(33)、理科46点(29)、英語44点(45)
合計220点(185)

ちなみに道コン事務局による合格予想最低点(ランク-5科合計点)
旭川東(1.19倍) A-218、B-233、C-236
旭川北(1.20倍) A-184、B-204、C-206
旭川西(1.39倍) A-179、B-199、C-204

合計で昨年より35点もアップ。易しい入試だったようです。特に国語の裁量問題が読みやすかったこと、理科の基本部分についての設問が増えた結果でしょう。

次に科目ごとの(受験生には全く参考にならない私的な)感想。

裁量英語の話題は東京オリンピック。パラリンピック選手の招致スピーチに感銘をうけ、高校生の菜奈が授業でプレゼンを行うといった設定。オリンピックを肯定的に受けとめ「omotenashi」をどうするかといったことに終始。しかし、招致スピーチといえば、世界に向かって「(フクシマの状況は)under control」と言い放ったものが衝撃だった。復興五輪と言いながら「東京と福島は250キロ。危険性は東京にはない」と発言した招致委。今なお5万人以上もいる避難生活者(福島32600人)。自主避難者の家賃補助も打ち切られる。嘘でもなんでも決まったのだから日本をあげ成功させようって?問題意識皆無。読んでいて呆れた。

社会の北方領土の出題もいただけない。8年連続でしょ。でるでる出たーーーっ!ってオバケじゃないんだから。しかも国後と択捉を答えるもの。なんで歯舞じゃないの?(読めない大臣もいた)やっぱそれって流行りの忖度?そのくせ、コバルトやら梅の産地だの(「紀州梅」は有名だが県名は?)、南アフリカとペルーの比較だの超どマイナーな問題を出す始末。ロシアとの領土交渉失敗と最近の韓国バッシングから、来年は竹島(独島)に変更するかも。新しい知事(玉城デニー)誕生、米軍基地と辺野古埋め立て。時事問題ならこれだろ!と思うが一切なし。

次は理科。実験と問題文の設定が複雑(生物分野)。見慣れない問題や難問(化学分野)。苦手とする者の多い露頭の問題。「かぎ層」を答える設問があったが、市内の中学生が使っている東書理科では欄外に小さな記述。附属中の教出には本文、しかも赤字。配点1点とはいえ不公平。昨年と比べ易化したとはいえ、性格の悪い作問が目立った。

どうせ解けない裁量数学の難問。ならばそれを排除し、他でいかに得点するか?これが裁量問題対策の基本。もともとウルトラ進学校のための難問だったのだから。そういった意味で易しくなったことは喜ばしい。しかし、極端に簡単すぎる設問(作図やら)の羅列もまた考えもの。

国語。昔は大問1は詩が定番だった。今はプレゼン。そんなに企業に奉仕する人材を育てたい?そのうち文学作品もなくなるんじゃ?今年の裁量の文章は読みやすく、これぐらいが丁度いい。古文は読み解くのが辛いが、その内容はいつもながら面白い。


以上、切り口を変え辛口でお伝えしました。マトモな入試問題講評は道コンのサイトでご覧下さいね。

追記1
中3最後の授業、帰り際の会話。
「塾長、今ごろになって緊張してきた。どうしたらいい?」(塾生)
「俺もライブ前、ものすごーくドキドキし、逃げようかと思うんだよ。でも本番前の緊張が大きけれ
ば大きいほど、いざやるぞってとき、ドーンとできちゃったりする」(俺)
「そっかぁ。じゃあ、今は緊張しててもいいんだね」(塾生)
「そう、いっぱい緊張しな」(俺)

「じゃあ、(受験)前日ってどう過ごしたらいい?勉強した方がいい?」(塾生)
「早く寝たらいいさ」(俺)
「寝れるかなー」(塾生)
「お経でもあげたら」(俺)
「 (笑) 」(塾生)

こちら(私)も緊張してきた。(笑)

追記2
募集チラシ、やっと13日の折り込み。昨年よりも怠慢!
なのに、早々と問い合わせ、入塾もあった。感謝!

〈2019. 3.11〉

追記3
今年も全員(少人数だったけど)合格!
やったぁ!!

〈2019. 3.18〉

その14

『中1になったSの話』

小学生の間は遊び優先だが、成績も悪くはなかった。ただ、応用問題になると思考停止に。加えて、教えてもすぐ忘れるクセ?も。やはりというか、見立て通りというか、中1最初のお迎えテスト(学力テスト第一回)で学年140人中80番!学テは、近年、どの学年も、ひねった良問が多く、表面的な学習では得点しづらい。Sが苦手とする形式だ。とは言っても、塾生の中には、高得点を取る者が当然いる。いくら問題が難しくてもできる子はできるのだ。さて、1学期末テストで挽回するにはどうしたらいいのか?

期末テストは、基礎から発展まで素直な設問が多い。教科書をしっかりと理解し、類似問題にあたっておけば、平均的な学力の者なら8割はいける(はず)。塾には多数の準拠教材、複数の中学校の過去問など豊富にある。よってSの目標を5教科計400点以上(もちろん全塾生の目標でもある)とし、毎日2〜3時間勉強させることにした。ところが土日はいいとして、平日に学習時間を確保するのが結構難しいことに直面する。

その障害は、ゲーム。iPad でやる対戦型ゲーム。これが30分や1時間で終わらない。相手がいるので途中で抜けたがらない。黙っていれば2〜3時間夢中になっている。母親の「もうやめなさい!」、「うん、これ終わったらやめる」の繰り返しでダラダラ。「そんなんなら禁止する!」と言ったときの抵抗の激しさ。文化系の部活だから6時前には帰宅できるとして、風呂、食事等で1時間半、勉強に3時間、ゲームを3時間やれば就寝は午前1時を過ぎる。勉強を2時間半、ゲームを1時間にすれば11時には寝れる。ま、これがベストかな?ということだったが、ゲーム時間を巡っての激しいバトルが日々繰り返されることに。

塾生のことも気になったのでアンケートをとってみた(中1〜3対象)。

ゲームに限ってみれば(SNS等に時間をさいてる者は除いて)、全くやらないのはたったの2割。半数が平日毎日やっている。やはり1時間程度が多いが、それ以上やる者も4割を超えている。運動部の場合、帰宅時間も遅いから、寝る時間(勉強時間かも?)を削っているようだ。「学校で寝るからいい」なんて過激な声も。

75%が親に叱られた経験がある。理由は「時間を守らないでやり続けた」「勉強せずにやっていた」「隠れてしていた」「(夢中になっていて)話をきいていない時」など。

一番気になっていたのは、試験何日前からやめているか?ということ。「テスト3週間前からしない」という模範解答もあったが、「2、3日前になってやっと自粛」が最多。ま、部活もそんな感じだからか?塾生に問うと、「(試験直前でも)勉強の息抜きに30分位はいいしょ」と。

ゲームは勉強の障害になっていると思うか?という問いには、55%がイエス(わかってんじゃん!)。課金したことがある者も半数いた。

Sには平日(とは言っても週2日は塾なので3日間)は勉強が2時間半〜3時間、ゲーム1時間というのを守らせるようにした。勉強しないとゲームはできないので、それなりに勉強はやったが、ゲーム時間超過は日常茶飯事。「授業中寝てるんじゃないの!」「寝てないもん!」「ゲーム禁止!」「やだ!」の繰り返し。塾生の中にはゲーム機を没収されたり、中には母親が破壊した!という凄いのもあった。

そんなこんなで、結果としては学年5番に。80番からだから大躍進といえる。やったことは、1.毎日の学習時間を必ず確保する、2.(学校でも塾でも)習ったことは間をおかず復習する、の2点。使った教材は学校のワーク、塾のテキスト、書店で売られている準拠ワーク。塾のワーク以外は誰でも手にすることができるもの。学校のワークと出されたプリント類だけでも完璧にマスターすれば、確実にいい線いくと思う。

しかし、

せっかくの飛躍も、夏休み明けの学力では30番(お迎えよりはいいが)。知り合いの塾長に「どうしたら(学テ)取れるようになる?」と相談すると、「 (色々)やってるうちにできるようになるんじゃない?」と。あぁ、そうかもしれないけどさー。ちなみに相談した彼は、とても熱心で誠実な方。



次回予告、「学テ奮闘記」か?

〈2019. 9.16〉

About Us 2 に続く…

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